東京フィルハーモニー交響楽団の首席ホルン奏者で、三芳町ふるさと大使の髙橋臣宜さん。
前回ご紹介した「オーケストラの裏側ツアー」が好評をいただきました。
髙橋さんから第2弾が届きましたので、以下の通りご紹介します。
先日、このページをご覧頂いた方から、こんなご質問がありました。
「プロのオーケストラに入るには何をすればいいのですか?」
そこで私の【オーケストラの裏側ツアー】第2弾は、「プロのオーケストラ奏者になるにはどうすればいいの?」です。
これからプロの演奏家を目指す若者達にも分かりやすくお話したいと思います。
まず、早速答えをお教え致しますが、プロのオーケストラに入るためには、ごくごく一部の団員さんに例外はありますが、基本的にそのオーケストラが開催する「入団オーディション」を受けなければなりません。
このオーディションは年がら年中開催されている訳ではなく、団員さんがお辞めになったりして、席(☆私高橋で言えば首席ホルンの席)が空いて、その席を埋めるべく募集がかかります。
これは経営状況やその席の数(☆オーケストラによって定員の数は違いますが、ごく一般的には、ホルン奏者なら一つのオーケストラ5〜6人が定員ですが、チューバ奏者なら一つのオーケストラに1人)によって違いはありますが、場合によっては何年も行われない事も珍しくありません。
オーディションは大体において1次審査→2次審査となり、この2次審査が本選となる事が多く、この本選では、そのオーケストラの全楽員、場合よっては音楽監督や事務局の楽団長が列席する事もあり、まさしく「オーケストラ全員の前」で演奏します。
生きた心地致しません…笑
演奏内容は、ソロの曲、多くはモーツァルトなど、古典派の協奏曲やソナタ曲が多く、加えて、前もって楽団側から配られるオーケストラ・スタディを数曲演奏致します。
オーケストラ・スタディというのは、その楽器その楽器のオーケストラの中での有名な旋律の事で、「オケスタ」と呼ばれます。
指示を受け、数曲演奏致します。
たとえばホルンですと、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」の第3楽章のトリオの部分、リヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の冒頭部のソロなどです。
そしてこの本選において優秀な成績を収めた人が通過となる訳ですが、オーディションに通過してもまだ入団できません!
●たかはし たかのり
山形県出身、三芳町在住。東京フィルハーモニー交響
楽団の首席ホルン奏者で、ザ・シンフォニエッタみよ
しのメンバー。ホルンと車と三芳町をこよなく愛す。
オーディション通過者は通常「試用期間」という研修期間に入ります。
オーケストラによってこの期間の長さは異なりますが、指定された期間、オーケストラの団員にふさわしい、柔軟で強く、協調できる心、優秀な技術、健全な身体、まさしく「心・技・体」を見られるべく、実際にオーケストラの中に入り、周りと一緒に音を出して審査されます。
ですが、どちらかと言いますと、この試用期間は審査という感じではなく、「オーケストラの色んな事に慣れてもらう期間」という意味合いが強いです。
私高橋の例で言いますと、私は初めの入団は首席奏者としてではなく、高音奏者(☆ホルンは、主に高音担当の上吹き、低音担当の下吹きに分けられます)として入団致しました。
この時の試用期間は11ヶ月、その後、首席奏者としての試用期間が11ヶ月、合わせて約2年の研修期間を乗り越えた事になります。
この期間、寝坊など絶対にしないように目覚まし時計を何個も購入し、途中で交通トラブルがあっても大丈夫な様、誰よりも早く練習場に着く様に心がけ、常に緊張して生活しておりました。
この試用期間の最後の方に、全楽員からの投票があり、そこを合格すると晴れてプロのオケマンになれます。
次回第3弾は、入団オーディションに辿り着くまでに何をするのか、何を勉強するのか、特にこれからプロを目指す方々にも分かりやすい様に、そっと皆さんに教えたいと思います。
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