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パネルディスカッション「三芳町の政策研究所を振り返って」

パネラー

政策アドバイザーである牧瀬氏に司会進行を、各PT(プロジェクトチーム)アドバイザーの皆様をパネラーとし、1年間行ってきた政策研究所を振り返っていただきました。

政策アドバイザー牧瀬氏 自治基本条例三海氏

【政策アドバイザー】牧瀬 稔 氏

【自治基本条例アドバイザー】三海 厚 氏

公共交通アドバイザー板谷氏 観光のまちづくりアドバイザー山本氏

【公共交通アドバイザー】板谷 和也 氏

【観光のまちづくりアドバイザー】山本 聖子 氏


【牧瀬】
三芳町が政策研究所を6月に立ち上げましたが、町としてこういった政策研究所を持っているのは少ないという状況があります。
それを踏まえ、3つのチームがさまざまな政策研究をしてきましたので、この1年を通して、政策研究のあり方や政策研究所の来年度の方向性を伺いたいと思います。
各プロジェクトチームで取り組んできたことを簡単に紹介していただければと思います。

各プロジェクトチームの取り組み

【三海】
自治基本条例は、内容が非常に難しく、割と抽象的で、他のチームのように町内を見に行ったりする機会もなく、座学で調べながら行いました。
町の職員にとって"条例"というものは身近ですが、町民にとってはあまり馴染みがありません。しかし、それがかえって積極的に調べたり考えたりすることにつながりました。
これから仮に自治基本条例をつくっていくのであれば、町民の方と一緒につくっていかなくては意味がないものだと思います。今回参加した研究員が、意義なり意味なりを考え、積極的に自分で取り組んだというのは、この先のきっかけとなるものではないかと感じています。

 

【板谷】
公共交通全般の話では、三芳町だけの話ではなく、今、二極分化が進んでいるかと思います。一つは黒字路線。もう一つはそれだけでは運営できない赤字路線です。
欧米のように人口密度が低い国になると、公共交通を民間事業者が経営していくのは難しい。逆に日本では、黒字で経営できているところもあります。
しかし、最近は徐々に人口が減少し、公共交通が維持できないところが増えてきました。当初、ライフバスも健全経営かと思ったのですが、補助金が入っているということで、普通に事業をやっていけない地域に、三芳町もなっていっているという現状認識をもっています。
事業者に任せきりということではなく、行政側、町民の方のバックアップ、支援が不可欠になってくるかと思います。
研究では、現状を把握していくということで、広い視野をもって住民との関わり方についても考えながら1年間実施してきています。

 

【山本】
今回の研究所、10か月での一番の感想は、若い職員と市民研究員の交流がとてもよかったなということです。世代間での意見調整はなかなか難しかったですが、意見をぶつけ合う場が設けられたというのは非常に大きな意味があったと思います。
私は、観光政策をやっていくのに「3つ」大切なことがあると思っています。
まずは、司令塔をつくること。観光協会や観光課があるということです。
次に、協力者をつくること。地元の会社だったり、NPOの方だったり、住民の方だったり、他の自治体からの協力を仰いだりといった仲間づくりが必要だと思っています。
そして、施策を具体化して実行していくということ。
10か月でこれができたとは言えないですが、その素案はできたと思っています。

会場の様子

【牧瀬】
今回、町長のマニフェストに基づいて、自治基本条例、公共交通、観光のまちづくりの3つのテーマでアドバイザーをお願いして政策研究を行いました。政策研究なので、政策決定ではなく、政策の提言を行っていくということで、最終的な政策決定はあくまで、町長または執行部が、今回の報告を基に行っていただければと思います。
次は、講評あるいは付け加えること、なんでも構いませんのでお願いします。

1年間の研究を終えて

【板谷】
公共交通を専門で研究してきているのですが、公共交通に関していくぶん誤解があると思いますので、実際公共交通ってどうなのか、行政側で公共交通に関わっていくことに対して何が問題かについてお話しします。
公共交通、公共と言っていますが、営利事業です。たまに公営交通もありますが、採算をとらなくてはいけないというのが日本の交通事業の原則です。
昔は、バス業者は免許制で、採算の取れない路線、赤字路線も運転しなくてはいけなかった。その代わり、黒字路線も運行できていました。それが2000年以降、規制緩和され、赤字の事業から撤退できることになります。撤退すると、地域の足がなくなり、その足を守るのが市町村になる。すると営利事業でなく、公共事業になってしまいます。
三芳町にはライフバスがありますが、実際問題、バスって赤字なのか、という問題があると思います。まず、バスが実際黒字で運行するにはどのくらい必要なのかというのを感覚的にご理解いただきたいと思います。非常に簡単計算で、1便あたり何人乗っていると黒字になるか。イメージとしてT駅からM役場の2点をひたすら行ったり来たりしているという路線です。

(c)板谷和也

ざっくりした計算で、本当はこれでは足りません。車輌の減価償却費とか保険等の車両の運行に関わる部分が入っていないのです。
結論の1便14人はそんなにハードルが高くない気がしますが、時間帯による乗客数の変化や、他の費用を考えると1便当たり28人くらい乗らないと採算がとれません。そうなると、ライフバスにそれくらいの乗客があるかは疑問です。最近の日本の運輸事業は利益が出しにくいという営業形態だということをご理解いただきたいと思います。この状況をふまえるとほとんどの路線が赤字だと思います。しかし、赤字でも需要はありますので事業者が撤退するとしても、町民の足の確保のため、市町村が補助金を出して公共交通の供給にあたらなくてはいけません。
現在、町からはライフバスに年間2400万円の補助金を拠出しています。これは、ライフバスを使える4割弱の人だけに拠出しているということになり、公平性に問題がでます。そこで、全町的な公共交通の政策を考えなければならないと思います。
そのために必要なことがあります。公共交通の政策はつくる手間がかかり、人材とお金の両方が必要です。しかし、町の職員を他の部署から充てることはできるのか、他の予算を減らして、そこに充てることができるのか等の課題もあります。また、町民にも1日乗車券を買っていただくとか、そういう負担をしてもらうことができるかどうか。公共交通を改善していくためには、町民の方にも一定の覚悟が求められると思います。
最後に研究所の立場として、先ほど提言したものに関しては、研究対象として適切なものであると思います。しかし、これだけでは公共交通は良くなりません。現在の町の公共交通は、ライフバスが実質的に全て行っています。今後、ライフバスの路線を増やす等の改善をするとした場合、それは研究ではなく、実践の領域になります。したがって、こういう研究を実施することによって、「町内全域を対象とした公共交通計画の策定」「公共交通空白地域における公共交通供給計画の策定と実際の運行」の取り組みが進めば、改善が望めると考えます。

 

【山本】
発表を聞かれた方が感じていると思われることを、いくつかあげさせていただきます。
まず、「三芳に観光が必要なのか」ということです。三芳町は一見健全な財政の団体というイメージがありますが、人口減、少子高齢化で楽観視はできない状況です。そのような中、三芳で観光政策をやっていくというのは30年後、50年後を見越した時に成果がでることだと思います。
また、「三芳に観光が値するのか」ということですが、まず、観光客が来てお金を落としてくれるのかという疑問ですが、町に住んでいる人が気づかない部分があります。たとえば三芳だとさつまいも、ハンドボール、三富新田です。さつまいもは、女性から人気があるスイーツです。また、ハンドボールは、あの有名な宮崎選手が三芳町で練習しています。しかし、ハンドボールは三芳の住民意識調査で出てきませんでした。三富新田は、循環型農業を行っており、三芳の歴史で欠かせないもので、実際に見てきれいだと感じました。これらを生かせると良いと思っています。
また、先ほどの発表で経費を出したのですが、費用対効果についてはこれから見極めることが必要です。今までの行政は予算主義でしたが、これからは成果主義で経済的にどういった効果があるのか見極める必要があります。
それから「近隣市に勝てるのか」。それはわからないですが、三芳町は得意分野を伸ばしていく形での観光政策が良いと思います。地域間協働として、地域を盛り上げる、埼玉県を盛り上げるというような大きな視点で見ていきたいです。観光の本質は、住民が楽しんでやること。その方たちに会いに来るくらいの観光を目指していくとよいと思います。

 

【三海】
細かい内容については報告書に書いているので、できれば目を通してもらいたいと思います。たとえば例で取り上げた市町での取り組みは、まちづくりそのものなので、それぞれの取り組みが本一冊できてしまいます。ホームページでも過程について詳しく出ていますので、興味のある方は参考にしてほしいと思います。
現在は自治体の財政及び国の財政は悪化してきていますし、有史以来、初めて人口が減少していく社会になってきています。そのような変化の中で、政策の現場である市町村で決めていかなければならないというのが「地方分権」であり、もともとそういう理念があり、自治体で厳しい部分があっても決めていかなくてはなりません。役場だけでなく、議会・住民とも一緒になって決めていかなければならない。そのための基本となるのが自治基本条例で定められている「住民参加」の部分であると思います。いろいろなやり方があると思うのですが、まちづくりを町全体でやっていくのにこれから何が必要で、どうしていかなくてはいけないかを自治基本条例を作りながら考えていくことになると思います。
ただ単に条例をつくるだけでなく、総合計画等の計画をつくるときにどうやって民意を反映させるのか、住民投票だけがクローズアップされがちですが、住民の方の意見を吸い上げていくための仕組みやアンケートの実施など、そういうことを取り入れて決めていくのが自治基本条例だと思っています。これらを含めて来年以降検討していただきたいです。

アドバイザーの皆さん

これまでと違う視点を

【牧瀬】
3つのプロジェクトチームから講評がありましたが、今は政策研究もだいぶ変わってきています。財政が厳しいという話もありました。日本全体では1200兆円の借金があります。GDPの2倍です。人口も減少していますので、非常に厳しい状況と思います。埼玉県でも交付金の不交付団体は三芳町と戸田市の2つだけです。これらの状況を踏まえると、今までの政策研究と視点が変かわってきますが、これからどういう方向がいいのか、意見があればお願いします。

 

【山本】
難しい質問ですが、緊急度と優先度を上手くミックスさせることだと思います。職員は緊急度が目につきますが、優先度は第三者的に見ることが必要です。三芳は市民研究員を入れていることで、職員と市民の感覚を共有できていますので、今後も継続してほしいと思います。政策研究とは、町長が考える夢や理念を、研究員が戦略を練り上げて可視化、文章化していくことが大事だと思います。市民研究員・職員・町民の方を含め、町長の意見を吸い上げながら様々な立場の方の知恵を集約していくことを継続してほしいですね。

 

司会進行 牧瀬氏

【牧瀬】
市民研究員を入れているのは数自治体。政策レベルで初めの段階から市民を一貫して入れているのは三芳町と相模原市等のわずかな自治体だけです。その意味では三芳町ならではの政策研究になっているのではないかと思います。

 

【板谷】
財政危機の時代の政策研究。公共交通に関しては、どうしても出ていくお金があります。ほかの政策との関わりの中で「費用対効果」が望めるのかということもあります。また、交通に関わる施策として主に道路整備があります。道路整備には非常に多額の資金を使う傾向にありまして、昔は整備するだけで道路状況は改善し、町民の生活レベルがあがりました。しかし、整備レベルが上がるにしたがってその効果は少なくなってきました。道路整備は今後も必要な話ですが、道路の改善と公共交通の利用率が改善した場合はどのくらい違うかの比較が必要です。こういった研究は担当課の職員が実施するのではなく、それこそ政策研究の出番だと思います。比較をすることによって、その中から選択するということが研究であると思います。さらに、利用者のニーズを把握するためにも、もう少し町民の方々に関わっていってもらう必要があります。
人口減少時代の研究というと、公共交通の話では、観光等とも密接に結びつけてやっていくことが必要だと思います。

 

【三海】
先進的と言われる自治体では、自治基本条例の中で情報の共有化が重要視されています。提供するだけでなく、一緒に考えていくことが情報の共有化となると思います。
町民は情報を知ることによって、いろいろなアイディアを出すことができる。いろいろなところにいろいろな情報が出回っているので、まず始めに情報を共有することが大切だと思います。

パネルディスカッションテーマ

【牧瀬】
他の市町にくらべて、三芳町ならではというのは、人口が少なく住民に近いということです。より住民の意向を踏まえた政策研究ができると思っています。また、職員が少ないので、無理のない政策研究が重要ですし、お金をかけないで政策研究ができたことも評価されます。また、外部との連携を意識した政策研究も三芳ならではだと思います。
そこで、これからの三芳町の政策研究に対して意見があればお願いします。

 

これからの政策研究

【三海】
このPTには6人の職員がいましたが、若手の職員中心でその多くが三芳町在住・出身。自分が出身であるため、職員としてだけでなく、自分がこれから住んでいく町のテーマとして、まちづくり自体も一緒に考えてもらうことができました。都市部の自治体では、役所の職員が出身じゃなかったり、在住じゃなかったりすることが多いので、自分たちも住民のひとりだという視点で考えを進めていくのは重要ではないかと思います。
今回は、テーマを与えられて研究しましたが、政策研究で一番大切なのは"政策の種"を探しながら研究していくことだと思います。研究の現場に住民がいるということは、役場にとっても力になることではないかと思いますので、そのようなことも生かしながら政策を考えていってほしいですね。

 

【板谷】
町村で研究所を持っているのは多分ほかにないのですでにオンリーワンだと思います。
相変わらず公共交通は、縦割りの強い組織が多く、交通関連だけで計画をつくることがあります。事業者にも同じような発想があって、前例踏襲が割とみられる分野かなと感じています。これを脱却するために政策研究所は有効だと思っています。非常に学術的にも面白い成果となって、他に与える影響も大きいのではないかと考えています。

 

【山本】
すでに、オンリーワンというものが出来上がってきていて、職員の方は少し視点を変えられる時間があったのはよかったと思います。観光チームは市民研究員3名が全員男性だったのですが、観光というからには、女性の声や各世代の意見もこれから入ってくると良いと思います。また、観光チームには職員の研究員で三芳に住んでいる方はいなかったのですが、住んでいなくても、1日の大半はここにいるので愛着があります。また、良かった所はみなさんに危機感がありました。公務員だからではなく、このまま数十年経った後に三芳町がすすき野原になったらどうしようというような危機感がひとりひとりにあったことは、これから政策研究をしていく上で重要なことです。これからも近隣市と比較しながら、危機感と緊張感をもって実施していただきたいと思います。

パネルディスカッションの様子

【牧瀬】
気になる点として、今回は執行部の政策研究を実施しましたが、議会の政策研究をどうするのかということがあります。二元代表制ですから執行部だけがやるのではなく、議会の方も必要ではないでしょうか。政策研究は議会と連携した方がいいと思います。問題提起をしておきます。
さて、改善点、気になる点、まとめをお願いします。

 

2年目にむけて

【板谷】
不満は全くありません。きわめて優秀な方が来ていただいたかと。課題を挙げるとすれば横の連携と広く広報することです。他のプロジェクトチームとの連携をとることで、何らかの成果を生かすとともに、意見交換的なことを行えれば良いと思います。また、町役場の政策研究所なので、活動の結果、成果を広く周知する必要があります。広報など優れた媒体を持っているので、報告に関しては町民のみなさんに知ってもらうということも必要だと思います。
公共交通は、来年は実際バスを走らせて具体的な手順を研究したいです。町民の方に公共交通の重要性を示すためにも、予算をつけて進めていただきたいと思います。

 

【山本】
今、プロジェクトチームは10人いますが、それくらいが議論には適した人数かなと思っています。今のところ改善点は思いつかないです。観光チームとしては、今後は提言を具体化していく必要があると思っています。三芳検定やハンドボールのまちづくりを提言しましたが、現地のヒアリングが重要で、三芳検定を受けようと思っている親子、子育て世代に話を聞いたりということは大事だと思いますので、具体的なヒアリングを含め研究してほしいと思います。SWOT分析を実施しましたが、今回の研究では三芳町の強みと弱みを取り上げました。機会と脅威というのがあって、調査も必要になりますので、自分たちだけではどうにもできないというところもでてきます。近隣市とも連携し、外的な要因というのを克服していかなくてはいけないので、それも2年目以降に深めていただきたいと思います。

 

【三海】
住民自治ということに近いテーマだったので、どちらかというと市民研究員の方が積極的で発言の機会も多かったです。年齢的なこともありますが、若手の職員も積極的に意見を言ってもらえるともっと活発に議論ができると思います。周りからだと自分のいいところは見えにくいので、自分のいいところを伸ばしていくのも必要だと思います。いいところはたくさんあると思います。みよしまつりに参加させていただいたときに、若い人たちが多くて驚きました。町というと、高齢者が多いのですが、三芳町は若い人が多くて活気にあふれている。それは強みであるし、潜在能力だと思うので、そこをどう伸ばしていくのか、たとえば、この報告会のようなところに若い人がくるような仕組みも必要だと思います。

 

【牧瀬】
町レベルで政策研究所をもっているのは三芳だけで、既にオンリーワンは間違いないと思います。次は政策の実現性など、なにかしらのナンバーワンを目指して、より良い政策研究をしてくことで福祉の増進に貢献していただければと思います。

 

お問い合わせ先

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