妊産婦・乳幼児の災害への備え

もしものときに備えて、ふだんから家族や身近な人と災害について話し合い、準備をしておきましょう。
そして継続することが、あなたやあなたの大切な人の身を守る力をつけることにつながります。
具体的な対応や連絡方法、避難場所や避難経路も事前に確認しておきましょう。

※指定避難場所・指定緊急避難場所

備え

非常用物品

避難した際、当面必要となる最小限の品を納めた袋が非常用持出袋です。妊産婦さんや乳幼児のいるご家庭のみなさんは「助産師が伝える災害時の知恵ぶくろ(日本助産師会)」を参考にし、非常用物品を備えておくようにしましょう。非常持出袋は、玄関の近くや寝室、車の中、物置などに配置しておきましょう。
また、母子健康手帳は、妊娠・出産・産後の経過や検査結果、子どもの成長の記録、予防接種歴等が書かれています。いざという時に医療者が健康状態を把握することができます。日ごろから母子健康手帳に、飲んでいる薬、連絡先などを記載し、避難のときには非常用物品とともに、母子健康手帳と診察券を必ず携帯しましょう。​

※「助産師が伝える災害時の知恵ぶくろ」(公益社団法人日本助産師会)PDFファイル(7294KB)このリンクは別ウィンドウで開きます

家の中

地震負傷者の30~50%は、家具類の転倒・落下・移動が原因です。安全なスペースを確保するためには

  • ​なるべく部屋に物を置かない
  • 避難経路が確保できる家具のレイアウトにする
  • 火災などの二次災害を防ぐ

転倒・落下・移動防止対策は、ネジ止めが基本!
キャスター付き家具はロック、ガラス製の扉等にはガラス飛散防止フィルムを貼りましょう。

水・食料は「ローリングストック法」で

水は1日1人3リットル、最低3日分用意しておきましょう。ローリングストック法は、ふだんから食べ慣れた食品を「非常食」にすることができます。

  1. 備蓄する食料・水を少し多めに用意する。
  2. 定期的に古いものから順に食べる。
  3. 食べた分を買い足し補充する。

コミュニケーション

ふだんから家族とコミュニケーションをとり、いざというときに備えましょう。外出中や登下校中、離れ離れになってしまった時の安否確認の方法や集合場所を決めておきましょう。また、災害時は近隣の住民同士の協力が不可欠です。日ごろからあいさつを交わす、防災訓練に参加する等、ご近所との付き合いの輪を広げておきましょう。

避難

避難するときの注意点

避難のタイミングは、ラジオ・テレビ、消防署や行政のサイトから正しい情報を得ましょう。むやみに動くと危険な場合もあります。避難するときは、動きやすい服装で2人以上での行動を心がけましょう。また、自分や家族の安否情報、避難先などの貼り紙を残し、鍵をかけて移動します。もし、災害時に連絡が取れなくなったときは、災害用伝言ダイヤル171や携帯電話の災害用伝言板などを使って安否を確認する方法があります。

※災害ダイヤルについて(NTT東日本)PDFファイル(128KB)このリンクは別ウィンドウで開きます

健康面

妊産婦の災害時の健康チェック

  • 妊娠中は冷えるとおなかが張ったりする場合があります。なるべく温かくしましょう。
  • 水分を十分に摂らず、長時間無理な姿勢でいると、血行不良になります。妊婦は血栓ができやすいため、足を動かし、水分を十分に摂って予防しましょう。ストレッチなどをして、からだをリラックスさせましょう。
  • おなかの張りに伴い軽く出血するかもしれません。清潔なナプキンをあてて休みましょう。出産につながる場合もあるので、病院や助産師に連絡しましょう。

急にお産がはじまったら

  • 予定日は早まる可能性もあります。規則的な痛みを伴うおなかの張り、粘りのある出血、破水があるときは我慢せず、直ちに援助を求め、医療者がいる場合は声をかけるか、診療可能な病院(かかりつけ医)等で診てもらいましょう。
  • 破水の場合には、清潔なおむつやタオルをあてて横になりましょう。
  • 陣痛が始まったら、焦らず横になれる場所を見つけて、慌てずゆっくりと呼吸を整えましょう。落ち着くほど、安全にお産をすすめることができます。

母乳・ミルク

  • ショックで一時的に母乳量が少なくなっても、飲ませ続けることでまた出るようになります。今までどおり授乳方法を変えないことが大切です。
  • 哺乳ビンがないときや消毒が十分でないときには、清潔な紙コップ等を使いましょう。
  • 粉ミルクまたは乳児用液体ミルクを準備しておくと便利です。

災害時のこころとからだ

眠れない、涙が出る、無気力になるなど、様々な反応は「異常な事態への正常な反応」です。
災害後、人間関係にも変化があります。産後は、ホルモンの影響で特に不安定になりやすいので、我慢せずに話せる人に自分の気持ちを伝えましょう。生活のリズムを整える、身体を動かしていくことも大切です。

赤ちゃんとお母さんのからだのこと

環境の変化で赤ちゃんも不安に思っています。温かく保温し、泣いたら抱っこするなどして安心させてあげましょう。また、お母さんは産後1か月間は、横になる時間を増やしからだを休めましょう。

乳幼児のこと

災害の体験や生活の変化から、赤ちゃん返りや不眠、落ち着かないなどが起こりますが、これは正常な反応です。子どもの話を聞く、スキンシップを多くしたり、赤ちゃん返りを否定せず、ありのままの子どもを受け止めてあげましょう。

参考資料

東京防災(東京都防災ホームページ)このリンクは別ウィンドウで開きます

埼玉県イツモ防災(埼玉県ホームページ)このリンクは別ウィンドウで開きます

日本助産師会「助産師が伝える災害時の知恵ぶくろ」(公益社団法人日本助産師会ホームページ)このリンクは別ウィンドウで開きます

妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドライン(東京都福祉保健局ホームページ)このリンクは別ウィンドウで開きます